――確かに「私がこれだけやってるのに」と言われるのは、子どもにプレッシャーやストレスになってしまうかもしれません。
私がかつて相談を受けていた一人っ子の親御さんは、専業主婦だったのでご自身の生活が100%受験に向かっており、親子関係がとても険悪でした。そこで“魔の月”のときはあえて「パートやアルバイトなどされてみては?」とアドバイスしました。その方は試験官のアルバイトをされたのですが、大学受験で必死に頑張る高校生の姿を見て「ウチの息子は高校生と同じことをしているんだ、すごい」と頑張りを認めることができたり、仕事の後にカフェで一息ついてわが子の受験から一歩引く時間を持つことで、心の余裕が生まれたようでした。
別のお母さまは、お子さんの勉強を見ていて家の中がギスギスしてしまっていたので、お父さまが「今日は僕が見るからひとりでどこかに行っておいで」と自分の時間をプレゼントしてくれたそう。その時はじめて自分がどういう状況なのかを冷静に考えられたとおっしゃっていました。この時期に親御さんが少しでも心の余裕を持つことは本当に大切なので、ぜひご自身の時間も取っていただきたいなと思います。
わが子の顔をよく見て、冷静さを取り戻す
――3つ目のポイントとは?
「お子さんの顔を見てあげてほしい」ということです。
この時期は、お子さんが学校から帰ったら「早くおやつを食べて塾に行きなさい」、塾から帰ったら「早くお風呂入りなさい」、「あれはやった? これはやった?」などの指示的な声かけが多くなりますね。そうすると、お子さんの顔を見て話す機会が減って、疲れていたり顔に生気がなくなっていたりすることに気づきにくくなるかもしれません。そんな時は、顔を見て「おかえり、よく頑張ったね」と言ってあげると、「魔の月」のギスギスがちょっと和らぐと思います。
もし、お子さんが起きている間に話すとバトルになってしまうという場合は、寝顔を見てみてください。ある親御さんは、子どものやる気のない態度にイライラして「今日は早く寝なさい」と言った後、寝顔を見に行ったら、頬に涙の跡があってハッとしたとおっしゃっていました。
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