それに私の場合、もっと小さいうちから受験勉強を始めたら疲れてしまったと思うんです。幼い頃にとことん遊びこんだことで、強さとか豊かさみたいなものが培われたのかもしれないと思っています。
実際に私が通っていた塾でも、最初はがんばっていたけど後半になるとエネルギーが続かなくなって受験をやめる子もいました。いろんな友だちを見てきたので、それぞれのペースがあると実感しています。
――菊川さんは受験勉強がいやではなかった?
そうですね、勉強は嫌いではなかったと思います。もちろん大変でしたけれど「いい点数をとりたい」「合格したい!」という前向きな気持ちはありました。
でも中学・高校時代は、毎日コツコツがんばるタイプではなかったですね。試験前ギリギリに勉強を始めるので、好きな教科に全力を注ぎました。おかげで文系科目はずっと苦手なままでしたね(苦笑)。
――菊川さんは数学がお好きだったんですよね。どんなところがおもしろいんですか?
論理的で、解けるとスッキリするところですね。「あっ!」ってひらめいて、「そうかそうか、そういうことね!」と理解する過程が大好き。
公式って「数字を当てはめると自動的に答えが出てくるための装置」と思われがちなんですが、公式を丸暗記して答えを出しても数学はおもしろくはないんです。
そうではなくて、公式を論理的に理解できることが楽しい。「公式があれば、こんな複雑なことがスッキリ整理されるんだ!」ということがわかる、その過程がおもしろいんですよ。
高校の数学の先生が、公式に至るまでの道筋をわかりやすく教えてくださる方で、その影響で数学が好きになったんだと思います。
――数学の話をすると目が輝くんですね(笑)。勉強が好き、という気持ちが伝わります。
そうですか(笑)。ただ、私の場合は「大学でこれを学びたい!」という明確な目標があったわけではなかったんです。
文系科目が苦手だったので、文理の選択は1秒で決まりましたが、理系の中でどの学科を選択するかは「なんとなく、この中だったら建築かなぁ」っていう感じ。
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