非認知能力は、大人が育てるものではなく、子ども自身が獲得して伸ばしていく能力。大人は、その「手助け」をするスタンスです。ではどんなことをすればいいのでしょう? そのコツを、子どもの非認知能力に詳しいAll HEROs合同会社代表の中山芳一さんに聞きました。『AERA with Kids2024年秋号』(朝日新聞出版)からご紹介します。

MENU 非認知能力は、すなわち「心の力」なのです 小学生時代に大切な力はこの3つ 非認知能力を使いこなせるようになるために、大人は何をする?

非認知能力は、すなわち「心の力」なのです

 非認知能力ということばを子どもに説明するとき「僕は『みんなの中にある“心の力”が非認知能力。超能力じゃないよ、これでスプーンは曲げられないからね!』と話しています」というのは、非認知能力を研究しているAll HEROs合同会社代表で元・岡山大学准教授の中山芳一さんです。

「いろいろな表現がありますが、心や気持ちなど『内面的な能力』ととらえるとわかりやすいですね」(中山さん)

 学童保育も運営する中山さん。「よく、親御さんから『非認知能力はどうやって育てるのですか?』と聞かれます。でも非認知能力は“育てる”のではなく、“伸びる”もの。その主体はあくまで子どもなのです。大人ができるのは、伸ばす素地を整えたりきっかけを与えたりすること。伸ばすのは子ども自身なのです」

小学生時代に大切な力はこの3つ

「共感力」「楽観性」「自制心」……。非認知能力は、「研究の用語も含め、国内で約60、海外では約200あると言われています」(中山さん)。その中でも、小学生時代に身につけたいのが下の三つの力。中山さんは、子どもたちにこんなふうに伝えています。

1)つながり系

「コミュニケーション力や共感、協調性。ほかの人の意見を尊重したり共感したりと、他者との関係を良好に築くときに発揮する、大切なスキルです」

2)がまん系

「忍耐力や自制心、回復力(レジリエンス)などです。ネガティブなことに対して、下がった自分をもとに戻したり、気持ちを切り替えたりするのに必要な力です」

3)やる気系

「意欲や向上心、自信や自尊感情、楽観性……ほかにもたくさんありますが、つまりは今の自分を上げる、変える、成長させる力。『よし、やるぞ!』です」

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AERA with Kids編集部
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