2024年度の中学入試でよく出た本
『きみの話を聞かせてくれよ』
村上雅郁/作 カシワイ/絵 フレーベル館 1694円
中2の黒野良輔とその友人たちを描く青春群像劇。親友・早緑とけんかして以来ひとりぼっちの六花、お菓子作りが趣味の虎之助、吹奏楽部でパーカッション担当の夏帆など、7章7人の主人公の、共感できる悩みや思いが紡がれる。
(出題校)立教女学院中、駒場東邦中、栄東中など
『給食アンサンブル2』
如月かずさ/作 五十嵐大介/絵 光村図書 1320円
部活をやめたことを引きずる慎吾、推しキャラへの想いに心乱れる朋華、「いい人」しか取りえのない三熊など、それぞれに迷いや悩みを抱えた6人の中2の胸にひそむほんとうの気持ちを、給食を通して浮かび上がらせる。
(出題校)青山学院中等部、本郷中、高輪中、栄東中など
『成瀬は天下を取りにいく』
宮島未奈/著 新潮社 1705円
「コロナ禍で閉店する地元の百貨店に毎日通ってテレビに映る」「漫才コンテストのM-1に出場する」など、他人の目を気にせず、自分のやりたいことを貫く主人公・成瀬あかりと、幼なじみの島崎みゆきらの姿を描く。本屋大賞受賞作。
(出題校)栄東中、豊島岡女子学園中、中央大学附属中など
2025年度の中学入試で出そうな本
『ブルーラインから、はるか』
林けんじろう/作 坂内 拓/絵 講談社 1540円
小6のコタは、ほとんど話したことのない小4の風馬の「自由研究を手伝ってほしい」という頼みで、広島・尾道から愛媛・今治を結ぶ「しまなみ海道」を自転車で渡ることになった。さまざまな経験をしながら成長する二人の夏のある日の物語。
『あの空の色がほしい』
蟹江 杏/著 河出書房新社 1980円
お絵描きが大好きな小4のマコが、ある日見つけた風変わりな家は、近所で変人とうわさされる芸術家が開いている美術教室だった。マコが絵を習いたいと頼み込んだことから始まる二人の奇妙な交流を描く物語。
※「ジュニアエラ2024年8月号」<中学入試の「国語」読解問題でとりあげられた本は? 渋幕、筑附、豊島岡女子などで出題された5冊を紹介>から続く。
〇解説/猪狩斉大(声の教育社)
朝日新聞出版