また観光客が増えれば、宿泊や飲食や買い物などにお金を使ってくれる人がたくさん増えて、地元の経済も潤います。この点も世界遺産に登録される大きなメリットです。
いっぽうでマイナス面もないわけではありません。観光客が一気に増えることで道路が渋滞したり、人で混雑したり、ゴミが増えて汚れたりといった観光公害の問題が起きやすくなります。観光客でにぎわうのは登録直後だけで、盛り上がりが長続きしないといった側面もあります。
世界遺産として保護していかなくてはならないため、地元の人たちにとって必要な開発ができにくくなることも、マイナス面といえるでしょう。
日本の世界遺産はこの先も増えていくの?
「世界遺産条約」が採択されてから半世紀以上が過ぎ、主だった有名な物件が登録済みとなってきていることで、登録する価値がある「世界遺産にふさわしい」と思う候補は世界的にも少なくなってきています。
日本も同じで、今のところ候補リストに挙がっているのは「古都鎌倉の寺院・寺社ほか」(神奈川県)、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県)、「彦根城」(滋賀県)、「平泉︱仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群︱」(岩手県)の四つです。
このうち「飛鳥・藤原」と「彦根城」が、次の有力な推薦候補とされていますが、それぞれに課題があり、すぐの登録はむずかしいのが現状です。「鎌倉」は過去に不登録を勧告されており、「平泉」も、遺産登録されている範囲を拡張したいということなので、こちらも登録の可能性は今のところ低いのが実際です。
地域資産を世界遺産に、という地域活動もあちこちで行われていますが、遺産登録は曲がり角に来ているといってよいでしょう。前述のプラス・マイナス面も含め、どうしていくべきか親子で話し合ってみてください。
(構成・文/八木沢由香)
朝日新聞出版

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