シャンティ国際ボランティア会が行う「絵本を届ける運動」をご存じですか? これは、本を知らないアジアの子どもたちに「翻訳絵本」を届けるという取り組みです。シャンティでは、これまでカンボジアやミャンマー、ラオス、アフガニスタンなどの地域に、38万冊以上の翻訳絵本を届けてきたそうです。

 日本語の絵本に、現地の言語に翻訳したシールを貼って手づくりするんですが、この絵本づくりは、誰でも1冊から参加することができるんです。今回、シャンティ東京事務所で「絵本を届ける運動」25周年のイベントがあり、私も初めて翻訳絵本づくりに挑戦してきました。ウクライナ民話の『てぶくろ』(福音館書店)を、ミャンマーに届けるためビルマ語に翻訳します。

「てぶくろ」はビルマ語で「エッレイ」と読むそうです。こんな感じでシールを貼っていきます

  日本語の上に貼る翻訳シールは、あらかじめ用意されています。シールを1枚ずつハサミでチョキチョキと切り取り、絵本を見比べて位置を確認しながら、日本語が隠れるように貼ります。私はビルマ語がまったく読めないので、上下を間違えないように。なかなか緊張する作業で、没入感があります。

 表紙から中面と、すべてのシールを貼り終えたら、最後に自分の名前を書き込むことができます。裏表紙の内側に貼ってある「お名前シール」に、ビルマ語の「あいうえお表」を見ながら、現地語と日本語で自分の名前を書きます。

 ビルマ語を自分の手で書くのももちろん初めてで、これがとてもワクワクする体験でした! 

丸々としていてかわいいビルマ語

 20~30分くらいかけて完成した翻訳絵本。この後、「絵本ドクター」と呼ばれるボランティアさんたちの点検・修正を経て、船便でミャンマーに届けられるそうです。

 この日はシャンティのスタッフさんに、現地の図書館で撮影した映像も見せてもらいました。生まれてから一度も難民キャンプを出たことがない、母語すら読めない子どもたちが、届けられた絵本の読み聞かせに目をキラキラと輝かせたり、声をあげて喜んだり。1冊の本が持つ力や、絵本の魅力を改めて感じました。

 翻訳絵本づくりは小学3年生くらいからがオススメだそうです。うちの娘たち(5歳・3歳)がもうちょっと大きくなったら、一緒に挑戦したいなと思います。

(編集部・吉田美穂)

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AERA with Kids+編集部
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