親を悩ます習い事やアフタースクールへの送迎問題。横浜市のある私立小学校では今年4月から、民間のアフタースクールまで子どもだけで乗れるタクシーサービスを利用しています。導入の背景を聞くと、地元の企業と学校とが協力して共働き世帯を支える、新しいソリューションの形が見えてきました。
【写真】脱ランドセルで全国に広がる「リュック」はこちら(全7枚)3km先のアフタースクールまで、タクシーが毎日送迎
9月上旬の午後2時半。おそろいのランドセルを背負った児童たちが、玄関の前に止まった大型タクシーに乗り込みます。ドライバーが一人ひとりの名前を確認し、シートベルトの着用を見届けると出発。手を振る子どもたちを乗せて、静かに走り出しました。
ここは、横浜市南区の丘の上にある関東学院小学校。創立72年を迎えたこの私立小学校では、今年の春から、放課後、1年生の児童を近隣の民間アフタースクールへ送り届けるタクシーサービスを導入しています。
「行ってらっしゃい!」と、笑顔で見送るのは教頭の辻望さん。教育者であり、子育て経験者でもあります。
「共働き家庭が増えた近年は、わが校でもアフタースクールの導入を希望する声が届くようになりました。学校内での放課後預かりも含め、あらゆる手段を検討した結果、近隣のアフタースクール『横浜中央YMCA放課後学童クラブ』と提携することに。スタディタイムやおやつタイムのほか、延長すれば夜8時まで預かってくれ、水泳や英語、プログラミングといった習い事も充実しているアフタースクールです」(辻教頭)
YMCA側は子どもの受け入れを快諾してくれたものの、問題は、学校からおよそ3km離れた施設までの移動手段でした。学校の前から市営バスが走っていますが、小さな1年生にとっては、公共交通機関での移動は安全面での不安も伴います。
「YMCA側から送迎スタッフを派遣してくださる、という申し出もありましたが、YMCA最寄りの関内駅まで市営地下鉄で移動するとなると、児童の体力的負担も大きくなります。貸し切りバスの手配や、小型バスの購入も検討しましたが、費用面からとても難しそうでした」(同)
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