都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんは、受験後も教え子たちと交流を続けるなかで、中学受験生たちの“その後”を見つめ続けています。AERA with Kids+の連載「中学受験、その先に」。今回は、受験で合格し希望の中学に入学するも、不登校になった生徒の“その後”についてお聞きしました。
【マンガ】起立性調節障害から不登校に 娘と父の“二人三脚”で挑んだ400日の中学受験(全42枚)通信制の高校への進学を選択した生徒たち
――コロナ禍の影響もあり、中学入学後に不登校になった生徒も少なくないと聞きます。茂山先生の塾ではいかがでしたか?
ほかの塾の先生や私立の中高一貫校の先生方と話していても、「学校に通えていない子がいる」という話を耳にすることは多くなったな、と感じます。特にいまの高校1年生、2年生はコロナ禍で受験勉強に励み、合格を手にしても対面での入学式は行われず、授業もオンラインからのスタート。「学校に通う」という実感を持てないまま、中学生活が始まるという特殊な年だったと思います。学校生活のなかでしか経験できない行事も十分にできず、いま自分のいる環境に疑問を持つ子、「学校に通う」ってなんだろう、と改めて考える子がいたとしてもおかしくない状況だったと思います。
僕の塾にも、高校から通信制の学校に通うことを選択した生徒が二人います。一人は、小学4年の頃から志望していた中学に入学することができていたのですが、途中から通えなくなりました。もう一人も、不登校にはなったものの、「学校が嫌いなわけではない」と言っていて、「たとえ通うことができなくても、学校が大好きだ」という気持ちは強いようでした。
――なぜ、学校に通うことができなくなったのか、二人が理由を口にすることはありましたか。
二人とも、「起立性調節障害」と診断されていました。第二次性徴が始まる小学校高学年くらいから中学生に多い病気と言われていて、自律神経の不調で、朝起きて学校に行くことができないんですね。一人は、行けるときは学校に行き、登校すればそれなりに楽しく過ごしていたようですが、少し経つとまた朝起きることができなくなってしまう。
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