転校してきたリュウくんにも前の学校での思い出や心残りがあったことを知り、リュウくんに対して壁を作っていたレミの心がほどけていく様子は、新たな友情のはじまりを予感させます。レミの気持ちの変化を追体験することで、思い込みや決めつけにとらわれず、相手のいろんな部分に目を向けることの大切さに気づける良作です。
どんな子におすすめ?
新学期を迎えて環境に変化があった子におすすめ。転校生がやってきた、あるいは仲良しの友だちが転校してしまった、大好きな先生が転任してしまったなど、これまでの日常が変わってしまうのは、子どもにとって大なり小なり負担になります。どうしても以前の状況と比べてしまい、新しい日常を後ろ向きにしか見られなくなってしまうこともあるかもしれません。
レミはリュウくんの見えていなかった部分を偶然知ることができましたが、このお話を通して、どんな物事も自分が見えていることが全てではないことを知ってもらいたいです。たとえ最初は簡単には受け入れることができなくても、一息ついて別の視点からまなざしてみる。視点を切り替える習慣を身につけることは、子どもたちが生きていくうえで大きな力になるでしょう。
となりはリュウくん (PHPとっておきのどうわ)
松井 ラフ,佐藤 真紀子
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