まず、親なら、誰しもやってしまうことですから、ご自身を責めないでください。なぜよくないかというと、子どもの不安や不満を「物質」で解消すると、子どもは「条件付きで見られている」と思ってしまうからです。「いい子にしていないとダメだ」と感じて、自分の中に自信がない分、回り回って「自己否定する感情」が高まってしまう。

 例えば、「学校に行ったらおこづかいが何百円もらえる」というかかわり方はよくないと言われています。また、学校に行っている弟はおこづかいがもらえて、行っていない兄はもらえない、といった対応をすると、のちのち兄の自己否定する感情が爆発してしまうケースもあります。自分の行動が金銭的な評価で判断される、周囲は自分そのものではなく、条件でしか自分を見ていないんだと感じさせてしまう恐れがあります。十分に甘えさせることは大事だけれど、不安や不満を物質で解消することはよくない。不登校は「愛情」というものがわかるための時間なのかもしれないですね。

――甘えさせることが大事ということは、叱らないほうがいいのでしょうか?

「甘えさせ方」と「叱り方」、セットで考えたほうがいいですね。学校を休んでいるときであっても、必要なときには叱る、伝えるべきことは伝える。そして精神的に求められたときには十分応えたほうがいいですね。明橋大二先生が提唱する叱り方は、「短い言葉で」「目を見て」「簡潔に言う」「感情的にならない」。「〇〇しちゃダメ」ではなく「こうしよう」と伝えることです。

休んでいる間に、気持ちを聞いてみる

――何日か休むと、親は「休みグセがつく?」「このままずっと行かなくなったら……」と心配になります。甘やかしにならないなら休ませ続けても大丈夫なのでしょうか?

 そもそもなぜそんなに休みたいのか、お子さんに理由を聞くことが大切です。不登校の悩みを抱えているお子さんに最初に「休みたい」と言われた時に「なんで?」と聞くのはNGだと言われていますが、休んでいるときに「気持ちを聞かせてほしい」とたずねてみるのは、むしろしたほうがいいことです。

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