「私はあなたを心配しています」と伝えて、お子さんに理由をちゃんと聞く。「なぜ学校に行きたくないと思っているのか、どんなふうに感じているのか」を直接たずねる。そして、子どもが話し始めたら、話の途中でさえぎらないで最後まで聞く。子どもって、紆余曲折して違う話を挟んだりしますから。聞き終わったら、お子さんの心にとって安全第一の提案をしていきましょう。

 また、子どもはいじめを隠す場合があります。例えば、いじめられている子が「学校がつまらない」と言ったりするんですね。理由をよく聞いていくと、全員から無視される、バイ菌扱いされると言う。親からすると、「それをつまらないと表現してしまうの!?」というようなことがあります。

――子どもに無理はさせたくない一方で、この先、高校や大学、社会人となったときに困難を乗り越えていけるかと不安な気持ちもあります。

 たしかに不安になる気持ちもわかります。ただ、今は目の前の子どもの状況を見てほしいです。先ほど、親は「子どもがどのくらい学校がつらいのか、わからない」という話をしました。でも危ないときは、お子さん自身もわかっていないことが多々あります。今どのくらい傷ついているのかわからなくて、学校を休み始めたとたん、傷がうわーって出てきた、という話も聞きます。もしかしたら、本人も気づかないうちに限界を超えて無理をしている可能性もあります。まずはいったん距離をとって考えたほうが、リスクが少ないと言えますね。

(構成/布施奈央子)

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること (ポプラ新書 い 9-1)

石井 志昂

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること (ポプラ新書 い 9-1)
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石井志昂
石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、中学2年生から不登校。フリースクールに通ったのち、NPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材。現在はNPO法人を退社しジャーナリストとして活動中。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

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