治療のデメリットはあるの?

Q どのようなデメリットがあるのでしょうか?

 一番の問題は角膜の酸素不足が起こりやすいことです。角膜には血管がないため、外から酸素を、涙を介して取り入れています。コンタクトレンズで角膜を覆ってしまうと酸素濃度が低下するため、角膜のバリアー機能が低下し、さまざまな病原菌に感染しやすくなります。さらに、これがレンズを日中ではなく、夜間に装着するという点に注意が必要です。目はまぶたを閉じている状態では、酸素の供給が3分の1に減ってしまうのです。

 この点から、オルソケラトロジーでは感染対策のために、レンズのこすり洗い、ポビドンヨード液などによる入念な消毒、保存液による管理などが必要です。衛生管理を怠ったために、重度の角膜炎・角膜潰瘍(かいよう)を発症し、失明する可能性も否定できません。

 こうした日々のレンズの管理は小学生には難しいため、親御さんの役割となります。また医師の指示通り、たとえ症状がなくても3カ月に1度の定期検診などは必ず受けるなど、手間や根気が必要な治療なのです。

Q どのような子どもに向くのでしょうか?

 オルソケラトロジーは、元来、プロボクサーなど、メガネやコンタクトレンズを使えない職業の人に対し、考えられた治療です。このため、ラグビーやアメリカンフットボール、格闘技、水中で活動する水泳やスキューバダイビングなどをやる際の、視力の矯正方法としてすすめられてきました。

 お子さんについては、バレエやスポーツなどでメガネをかけにくい子などがまずは対象かと思います。また最初がゴロゴロするので我慢できる子、取り外しや消毒など保護者の協力が必要なので、保護者の言うことを守れる子です。

 なお、医学的な適応としては、視力が安定している近視や乱視です。比較的、軽度の近視が対象といえます。このほか、角膜の状態や目の病気の有無など詳しく診断したうえで、治療ができるかどうかを決めていきます。

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