2018年に活動を「完結」させたロックバンド・チャットモンチーの福岡晃子さん。20年に出産し、その直後に徳島県の海辺の町に転居しました。音楽活動や映像制作などを続けながら、24年4月には、初エッセイ『おかえり』(millebooks)を上梓しました。その中には、息子である「豆太くん」(仮名)が、発達障害の一つ、自閉スペクトラム症と知ったときのこともつづられています。豆太くんは現在4歳。福岡さんはわが子の「いま」と「この先」をどう見ているのでしょう。※前編<元チャットモンチー福岡晃子が語る「徳島移住」を決めたワケ 「プライバシーの壁がめくれた。めちゃくちゃ子育てしやすい」>から続く
【写真】徳島の海と福岡さん一家の写真はこちら「普通」かどうかなんて気にしない。なのになぜ苦しいの?
――ご著書には、福岡さんが豆太くんの発達障害にまったく気づいていなかったと書かれていましたね。
そうなんです。保育園で発達のテストがあったんですが、その結果をみて先生に「検査を受けたほうがいいのではないか」と言われました。私はそれまで「豆太は早生まれだから、言葉も行動もゆっくりなんだ」と思っていたんです。
でも周囲の友だちに話すと、「もしかしたらそうかと思っていた」って。私は母親なのに全然気づけていなかったんだなぁって、そのことにショックを受けました。
――発達障害と診断されたあと、受け入れるまでには時間がかかりましたか?
苦しくて苦しくて、1週間くらいあまり眠れなくなりました。
でも、その「苦しさ」って何なんだろうと考えたんです。自分の子どもが「普通の子」じゃないっていうことが苦しいのだとすれば、私は人に対して無意識のうちになんらかの線引きをしていたんだな、と気づきました。
――「線引き」とは?
人ってデコボコしているものじゃないですか。私だってこんな服装で、こんな髪色で、全然「普通」じゃない。
自分が普通じゃないくせに、子どもには「普通」を求めていたんだなって気づいて……。もうそれ自体がまちがいだったって知りました。そこから、気持ちは大きく変わりました。
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