折り紙好きだったことから「オリィ」と名乗っている、オリィ研究所共同創業者で代表取締役所長CVOの吉藤オリィさん。遠隔操作による分身ロボット「OriHime」が接客する画期的な実験カフェを開き、今もさまざまな難題にチャレンジし続けていますが、小中学校時代は体が弱く、集団からも浮いていたといいます。不登校を見守った母親がかけてくれた言葉とは? 「AERA with Kids 2024年夏号」(朝日新聞出版)からご紹介します。※後編<不登校を経験した吉藤オリィが語る、人生の転機とは 「一輪車をこぐ大きなロボットにワクワクしたことが始まり」>に続く

MENU 体も弱く、集団から浮いていた小中学校時代 人は「居場所」と「役割」そして「ワクワク感」があれば生きていける

体も弱く、集団から浮いていた小中学校時代

高濱 ここは、ロボットが接客をする「分身ロボットカフェDAWN(ドーン)ver.β」です。まるで近未来。始めてどれくらい経ちましたか?

吉藤 期間限定で始めたのが2018年、その後クラウドファンディングで資金を集めて公開常設実験店としてオープンしたのが21年です。いまも試行錯誤の連続で毎日が実験です。

高濱 この店の素晴らしいコンセプトをみなさんに教えてくれますか。

吉藤 この店はロボットが接客をしています。AIではなく、どのロボットも実在する人間が遠隔操作しているのです。彼らはパイロットと呼ばれ、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、身体的、精神的にさまざまな理由で外出困難な人が、それぞれの方法でロボットを遠隔操作しながらこの店で働いています。

高濱 だから「分身」ロボット。

吉藤 ロボットにはカメラとマイクとスピーカーが搭載されていて、首と両手も動きます。胸には各パイロットの顔写真とパイロットネームがついているので、双方向のおしゃべりを楽しみながら接客できるのです。

高濱 ベッドで寝たきりの人でも、分身ロボットがあれば交流できるし働いて収入も得られる。自分の役割と居場所が得られるのは生きがいにつながりますね。

吉藤 障がいは、生まれつきの人もいれば事故や病気による人もいます。私もいずれは動けなくなるかもしれない。でも分身ロボットがあれば、行きたいところに行き、会いたい人に会えるんです。

高濱 素晴らしいよね。こんなすごいことを実現させた人が、どう育ってきたのか、今日はそれを聞きたいと思います。

吉藤 そもそも私自身が、体が弱くて学校を休みがちだったんです。

高濱 何か持病があったんですか?

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篠原麻子
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