人は「居場所」と「役割」そして「ワクワク感」があれば生きていける
高濱 お父さんとお母さんはどう接していたんですか。
吉藤 父は中学校の教師で、けっこう熱血漢タイプ。しかも私と同じ中学にいたんですよ。だからかなり肩身が狭かったと思う。父は何も言わなかったけれど申し訳なくて。毎日天井を見つめながら、自分はこの世にいてもいいのかと考えていました。罪悪感にどっぷり浸って、正直生きるのもつらかった。
高濱 お母さんはどうでしたか?
吉藤 母は、学校に行かずに折り紙ばかりしている私にあきれながらも、「折り紙やってるあなたは目が輝いて楽しそうだからいい」と言ってくれました。
高濱 すごい。なかなか言えないよ。
吉藤 しかもどういう論理なのか、「折り紙が得意ならロボットづくりも得意なのでは」と思ったらしく、ロボットの競技大会に申し込んでくれたんです。
高濱 確かに折り紙が得意な人は理数脳が発達しているという説はあるけれど、そんなことよりお母さんは、オリィさんが何に目を輝かせるであろうかについてしっかり見ていたんだね。
(構成/篠原麻子)
※後編<不登校を経験した吉藤オリィが語る、人生の転機とは 「一輪車をこぐ大きなロボットにワクワクしたことが始まり」>に続く
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