子どもも肥満リスクの自覚で改善へ
――子どもの肥満予防にはどんな運動をどのくらいしたらよいのでしょうか。
運動はハードな運動ではなく、日常的に体を動かすことやできるだけ歩くことを習慣化することが大切です。歩数計や「ポケモンGO」などのスマホのゲームアプリなどを使って、楽しく歩く工夫をしてみましょう。室内でできる運動系ゲームなどでもOKです。運動を習慣化するためにも、子どもが楽しみながら体を動かせることを見つけましょう。
――肥満の子どもがダイエットをする場合、どのようなことに注意すべきでしょうか。
成長期の子どもの場合、無理な食事制限や過度な運動をさせるのはよくありません。まずは、健康的な食事や生活習慣を身につけさせることです。
また、ダイエット中の子どもに対する十分な心理的サポートも重要です。たとえば、日課にしている運動をできなかった日でも、それを責めるのではなく、なにかその日にできたことを一つでも褒めてあげるようにしましょう。そうして、本人のモチベーションを保ち続けることが大切です。
モチベーション維持には、子どもが理解しやすいように肥満であることのリスクについて話すことも大切です。「いまの肥満のままだと、将来、病気にもなりやすくなって、やりたいことも自由にできなくなってしまうよ」などと、子どもにもわかりやすく話してあげましょう。
――具体的な実例はありますか。
肥満に脂肪肝も発症していた不登校の11歳男児の例ですが、肥満改善に向けて家族の協力を得て、自分でも肥満のリスクを自覚することから始めました。「料理人になりたい」という将来の夢がみつかったことで、勉強やダイエットに前向きになり、1年後には肥満や脂肪肝も改善できました。
子どもの肥満改善において、家族だけでは対処が難しいと感じたら、必要に応じて小児科など医療機関で相談してもいいでしょう。医師や管理栄養士、臨床心理士、医療スタッフからのサポートを受けながら、肥満の改善に取り組んでいきましょう。
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