乗り物を利用するときや、買い物に行ったときは、子どもの「算数力」を身に付けるチャンス! 算数力が楽しく身に付くアイデア&チャレンジを、算数・数学の楽しさを伝えるコンテンツ企画グループ「math channel」の3人に教えてもらいました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年夏号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図】慶應普通部で「解答用紙のイラストがかわいい」と話題になった入試問題はこちら算数のプロたちの、“算数の原体験”とは?
編集部 算数の原体験について教えてもらえますか?
横山 自分は山の中で大体70㎝くらいのお気に入りの棒(枝)を拾って集めてた。「これはいい棒だ!」ってワクワクして。ぼくの長さ感覚の原体験は棒で培われましたね。
沼 体で長さを実感するの大事ですよね。私はお風呂でお湯の量が増えたりあふれたりした時に「人によって体積が違う」と思ったのを覚えてます。体積を計算したわけではなかったけど、お湯が増えるとはどういう現象なのかを考えてました。
横山 最近は自動でお湯がたまる家も多いから「あふれる」って感覚を知らない子も多いんじゃない? 受験でも似た状況の問題が出てくるし、鍋でもいいからあふれる経験をしたほうがいいよね。
吉田 たしかに。あと、同じ100gでも素材によって体積が違うとか、一つの基準から単位や大きさを比較して考えるのって家の中でたくさんできますよね。しょうゆ100gと塩100gはどう違うかとか。こういう量感覚の実験をたくさんしてほしいです。
横山 1Lの水を違う容器に入れて見え方の違いを見るとかね。牛乳パックと10㎝×10㎝×10㎝の立方体が同じ1Lとわかると結構びっくりするよ。
沼 私は昔、手芸用の綿で「こんなに大きいのに軽い!」と思いながらマスコットを作ったことがあります。何かを基準にして比較するのは、すごく大事な算数感覚ですね。
横山 生活の中の算数はただ問題を解くのと違って「体感算数」だね。面積を求めることとは違うけど、実際に目で見て大きさを感じてイメージのもとを頭のなかに作る感じ。ちょっとやったくらいじゃわからないからたくさん経験したほうがいいですね。「不思議に思うこと」って知るための原動力。ぼくは昔、太陽が沈む前に追いつけないかと猛ダッシュで西に向かって走ってました。
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