×「競争が苦手なんて情けないよ」

 子どもは競争し合いながら成長するというイメージを持つ人は多く、競争を嫌がると「気持ちが弱い」「情けない」と思う人もいるでしょう。しかし、子どもの中には他人と争うより、自分のペースで成長することを好む子もいて、どちらが優れているというわけではありません。

 また、子どもにとって競争とは、競い合いを通じて退屈なことでも楽しめたり、がんばれたり、勝ち負けによるうれしい気持ちや悔しい気持ちを体験する活動です。「勝たなければいけない」「負けるのはダメだ」のような大人の価値観を押しつけると、競争が無味乾燥で苦痛なものになるので控えましょう。

×「プライドが高すぎる」

 負けることを嫌がって競争しない子どもには、「プライドが高すぎる」と思う人もいるでしょう。子どもが負けることを受け入れられない理由は、悔しい気持ちをコントロールする力がまだ育っていない、負けたときにどうふるまえばよいかわからないという理由があります。大人の思うプライドの高さ(自分に自信があり誇らしく思っている状態)とは異なります。

「プライドが高すぎる」という言葉には、たいした力もないのに失敗を怖がるなんて生意気だというニュアンスがあり、子どもは責められたと感じるので注意してください。

×「勝ったら欲しいものを買ってあげる」

 子どものやる気を引きだすために、ご褒美作戦を使いたくなりますよね。でも、ご褒美作戦は、親の願い通りにいかないこともあります。

 子どもの喜ぶご褒美が親の想定以上だったり、子どもの努力が親の期待に達しないままだったり、ご褒美なしにはがんばれなくなったりすることがあります。子どものやる気は、内面から湧いてくるものです。ご褒美で釣ると、子ども自身の気持ちを見失ってしまう危険もあります。

声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力

吉田 美智子

声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力
著者 開く閉じる
吉田美智子
臨床心理士・公認心理師 吉田美智子

はこにわサロン東京・代表。外資系企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後は、東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年はこにわサロン東京を開室。主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。子育ての相談、親子関係、トラウマケア、ストレスケア、アンガーマネジメントなどの相談に携わる。日本経済新聞・読売新聞・日経クロスウーマンなどに寄稿し、メディアでも活躍中。

1 2 3