× 「なんで言えないの?」

 子どもが、自分の気持ちを伝えられないのがもどかしくて「なぜ言えないんだろう?」「思い切って言えばいいのに」と思いますよね。

親として何かよい助言をしてあげたい、言えない理由を知りたいと思い、「なんで言えないの?」と聞くこともあるでしょう。でも、この言葉は理由を聞いているようで、できないことを責めるニュアンスのほうが強くなり、子どもはダメな子だと思われたと感じてしまいます。

「言えなくて悔しかったね」や「言いにくかったね」「言える方法あるかな?」など、子どもに寄り添える言葉をかけてあげてください。

×「いじめられたり、仲間はずれになっても知らないよ」

 自分の気持ちが言えないと「お友だちからいじめられるのではないか?」「仲間はずれにされないか?」と親は不安に感じます。

 しかし、「〜されても知らないよ」と脅すことで発言をうながしても、子どもは言えませんし、もっと不安にさせてしまいます。うっかりこの言葉を言ってしまったら、「心配になっちゃったよ」と親の気持ちを伝えて、何か手伝えることがないか聞いてみましょう。

×「だから言ったでしょ」

 子どもが自分の気持ちや考えを言えずに誤解されたり、不利益を被ったりするのではないかと思うと、親は「ちゃんと言いなさいね」「言えないとあなたが困るのよ」と助言します。

 けれども、自分で言いたいと思っていても、現実的にまだ子どもはできなかったのです。「この子は今、言えないところでもがいているんだな」と理解して、「残念だったね」と気持ちをわかってあげられると子どもを応援できます。

声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力

吉田 美智子

声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力
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吉田美智子
臨床心理士・公認心理師 吉田美智子

はこにわサロン東京・代表。外資系企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後は、東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年はこにわサロン東京を開室。主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。子育ての相談、親子関係、トラウマケア、ストレスケア、アンガーマネジメントなどの相談に携わる。日本経済新聞・読売新聞・日経クロスウーマンなどに寄稿し、メディアでも活躍中。

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