毎日の給食の時間を憂鬱に感じている子は意外と多いものです。特に「感覚過敏」がある子にとって、不登校の理由の一つになる場合もあります。給食を苦手に感じてしまう原因や家庭で対策する際のポイントを、発達科学コミュニケーション代表で臨床発達心理士の吉野加容子さんに聞きました。(聞き手/AERA with Kids編集部)

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口の周りは感覚が敏感

――親御さんから「うちの子は給食が苦手で…」という話をよく聞きます。どのような理由が考えられるのでしょうか?

 繊細な子、発達凸凹がある子は、そもそも食べることが苦手な子が実は多いのです。特に自閉スペクトラム症タイプの子は、初めてのもの・ことが苦手で、給食にも嫌悪感を持ちやすい傾向があります。一度嫌な記憶を持ってしまうとそれを書き換えにくいという性質があるんですね。お子さんの中で「給食はイヤなもの」という気持ちが根付いていくので、親御さんがいくら「大丈夫、おいしいよ」と言い聞かせても効果がなく……。相談を受けるケースがよくあります。子どもたちにとっては、給食を理由に不登校になることもあるくらい大きな問題なのです。

――給食を理由に「学校に行きたくない」となることもあるんですね……。

 給食が苦手な子の中には「感覚過敏」な子が多く、特に「口周りの過敏性」が見られます。そもそも口の周りというのは敏感なのですが、口周りが過敏な子は、他の子があまり気にしないようなささいな「味」や「匂い」、「食感」の違いを感じとって嫌だという場合があります。「視覚過敏」がある子だと、食べ物の色やフルーツの種がたくさん並んでいる様子など見た目を苦手に感じますし、「聴覚過敏」がある子だと、キャベツやレタスを噛んだときに伝わってくる「シャキシャキ音」が、針を噛んでいるみたいでイヤだという場合も……。揚げ物の衣が口の中でチクチクして痛いと感じる子もいます。

 その他にも、集団で食べる時の「音」や「雰囲気」が苦手だったり、こだわりが強くて同じものしか食べられなかったり、食べる時間が限られていることにプレッシャーを感じて、急かされるとパニックを起こしたりするケースもあります。

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布施奈央子
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