”就職氷河期”のときの人気企業は?

――10年後、2000年ではどんな変化がありましたか。

 90年代初頭にバブルが崩壊し、バブル崩壊後は就職に苦労する学生が増えました。1993年ごろから2004年ごろまで​“就職氷河期”と言われる時代で、いまの小中学生の親御さんはこの時期に就職されたという方も多いかもしれません。

 2000年も就職氷河期のさなかで、多くの企業が新卒採用を控えて求人倍率が1倍を下回り、特に就職で苦労した学生がたくさんいました。学生としては、もちろん大手企業には行きたいけれど、業界にこだわっている余裕はなく、とにかく大手企業に入れるのであればどこでも……となって、ラインアップに挙がってくる業界もばらけてきます。

――どんな企業が人気でしたか。

 2000年の調査(2001年卒)では、理系ですと、1位がソニー、2位が資生堂。トヨタやホンダは変わらず強いですが、建設や食品なども入ってきますし、旭化成などの化学メーカー、素材メーカーがだんだん出てきて、パッと見てバラバラな印象です。文系は1位がJTB、2位がNTTドコモですね。この頃の特徴としてもうひとつ、女子学生の数が増えてきます。それもあって文系理系ともに資生堂がランクインをしてくるんですね。インターネットや携帯電話が急速に普及していった時代ですからNTTドコモやNTTデータといった企業もランクインしてきました。

2010年は食品を扱う企業が人気

――2010年は味の素、明治製菓(現・明治)、カゴメと食品系が3社入っていて、それまでよりも食品を扱う企業が増えていますね。

 2008年にリーマン・ショックが起こり、バブル崩壊とは違った意味で経済的に厳しい時代だったことが関係していると見ています。食品業界は一般消費者を対象にしているので学生にもなじみがありますし、食品は衣食住のひとつで、不況でもニーズが絶えることはありません。身近にあること、そして不況にも強い面で食品業界が躍進したと考えます。食品業界は女性に人気がありますから、“理系女子”がこの時代に増えてきたことも食品人気の背景にあると考えられます。

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