止血の正しい方法は?

Q 鼻血が出たらどうすればいいですか?

 下を向いて、鼻血が出ているほうの小鼻のあたり、つまりキーゼルバッハ部位を小鼻の上から指でギュッと押さえます。その状態を10分くらい維持していると、止まるので、指を離してもらっても大丈夫です。そこで鼻をいじるとまた、鼻血が出るので注意してください。

 子どもが大きければ自分で押さえさせていいと思います。小さいお子さんの場合は静かにできないこともあるので、まずは親御さんのひざの上に座らせること。その状態で絵本や動画を見せながら、親御さんが鼻を押さえてあげるといいでしょう。

 また、脱脂綿を棒状に加工してある商品が売られています。キーゼルバッハ部位に入れることで、止血を促します。登園や登校準備で忙しい朝や、外出時で鼻を押さえられないときに使っているという親御さんの話を聞きます。ティッシュや綿を詰めるのでもOKですが、「詰めて、抜いて」を繰り返すことにより、さらに傷ができて出血を繰り返してしまうことがあるので注意が必要です。

Q よくない止血方法はありますか?

 やってはいけないのは、鼻の根元(鼻根部)を押さえたり、上を向いたりすることです。鼻根部は出血元よりも上にあるので、押さえても鼻血は止まりません。鼻血が止まるまで上を向く方法は、昔、よくやられていました。しかし、鼻血がのどに落ち続け窒息の危険があること、たくさん飲み込むと気持ちが悪くなって吐いてしまうことがあることから、現在は推奨されていません。

Q 耳鼻咽喉科では鼻血に対して、どのような治療をしますか?

 鼻血が出ている状態であれば、止血剤の入ったガーゼや綿球を鼻に詰める処置をします。鼻に何かを詰め込まれるのは子どもも苦痛ではあると思いますが、元気に遊び、生活するためには鼻血を止めることが大切であることを説明し、必要に応じて耳鼻咽喉科を受診させてください。耳鼻咽喉科では心配な鼻血かどうかの診断もつくので、気になる場合は気軽に受診をしてほしいと思います。

(構成/狩生聖子)

○参考資料:「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年度版」

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