親なら誰でもわが子を「賢い子どもになってほしい」と願っているもの。しかし学習塾に通ったりドリルをこなしたりしてテストの点がよくなったら「賢い子ども」と言えるわけではないようです。教育家で見守る子育て研究所所長の小川大介さんは「本当の意味での賢い子どもは成績がいいということではなく、自分から学べる子」と話します。学びの土台として「これが知りたい」という意欲、「もっとやってみよう」という好奇心が育つ特別な時期「8歳までの成長」について教えてもらいました。「AERA with Kids 2024年春号」(朝日新聞出版)からお届けします。

一番近くにいる「親」にしかできないこと

 小川さんは「子どもは8歳までの成長が特別であることも忘れないで」といいます。どういうことなのでしょうか。

「8歳くらいまでの脳は、抽象的なことがあまり認識できず、理屈ではなく体験、つまり“体で学んでいる”のです。自分はこういうことが好き、こうすると頑張れるということを、言葉にはできないけど体で感じ取りながらセルフイメージを描き続けることで、自分の軸を作っていきます。自己肯定感や能動的に活動する力のエンジンが育つので、この時期はとても重要なのです」

 だからこの時期に、大人が「あれやれ、これやれ」と詰め込むと、子どもの自信ややる気、自己肯定感までもがなくなってしまうので気を付けなくてはいけません。

 ほかの子ができてわが子にできないことがあっても、「どうしてできないの!」「もっと努力しなさい!」ではなく、「じゃあ、やり方が違うんだな」と受け止め、子どもがストレスなくできるやり方を考え、工夫すればいいのです。

「うちの子はどういう力の発揮の仕方をして、どのように自信を深めていく子なのかという視点に立って子どもを応援できるのは、一番近くにいる親にしかできません。でも近すぎて見えなくなりがち。だからこそ意識してこの視点を持ち続けることが大切なのです」

 ではどのような経験があると自分から学ぶ力をつけることができるようになるのでしょうか。6つのポイントをご紹介します。

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船木麻里
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