いくつか選択肢を持っているくらいが「ちょうどいい」
――彼のように、部活を基準に志望校選びをする生徒は多いですか。
私立中学には、アイスホッケーや水球、ラグビーといった中学・高校では珍しいスポーツの部活もあるので、それらを軸に志望校選びをする生徒は一定数います。漫画『ちはやふる』の影響もあり、女子生徒には競技かるた部が根強い人気で、僕の塾でも毎年一人は目標にしている生徒がいるほどです。
公立中学と比べると、私立中学の部活動は種類が多いところが多いなと感じます。たとえば、吹奏楽やアーチェリー、弓道、剣道といったある程度予算が必要なものはやはり私立の学校の方がより充実している印象です。テニスなどメジャーなスポーツであっても、私立は施設や設備がより整っていると感じます。中学受験をするうえで、「部活」という要素を重視するのもいいと僕は思います。
――一方、部活にこだわりすぎるあまり、志望校を絞りすぎてしまうケースはありますか。
たしかに、その懸念もあります。そこは難しいところで、成績とのバランスを見ながら、周囲がうまくサポートをしていく必要がありますね。
また、念願かなって合格を手にしても、いざ入部してみたら「その部活動が想像と違った」と本人が感じてしまうこともあり得ます。そうなると、逃げ道がなくなってしまう。部活は人間関係や、その部の“空気感”など、経験する前と経験した後で大きく印象が変わるので、「絶対この部活にしか入らない」などと一つにこだわり過ぎないことも大切です。「あの部活もいいけれど、この部活もいいな」といくつかの選択肢を持っているくらいがちょうどいいのでは、と思います。
それは、志望校選びをするうえで大切な姿勢と同じですね。「この学校は魅力的だけれど、あの学校も面白そうだな」といくつか選択肢を持てていると、たとえ第1志望校が不合格だったとしても、前向きな姿勢で中学生活をスタートさせることができますから。
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