発達に特性のある子を育てるなかで、心配事が多いと、つい親子共々頑張りすぎて疲れてしまいがち。わが子をのびのびと育てるため、親はどんな心がまえでいればいいのでしょうか。児童精神科医の吉川徹先生、埼玉学園大学教授の藤枝静暁先生、臨床発達士の吉野加容子さんにアドバイスを聞きました。子育て・教育情報誌「AERA with Kids」から紹介します。

MENU 1)できることを増やそうとせず、できなくても大丈夫にする 2)完成や達成よりも、挑戦を大事にする親の姿勢を見せる 3)休日に疲れすぎる状況をつくらないようにする 4)誰でもグレーゾーン 親の対応次第で子どもは変わる 5)一人で何でもやるきるより「困ったときは誰かを頼っていい」と伝える

1)できることを増やそうとせず、できなくても大丈夫にする

 発達に特性がある子どもの子育てにおいて、親はつい「今できないことを、できるようにする」ことを目標にしてしまいがちです。しかし、すでに日々さまざまな苦労があり、絶え間ない努力をしている子にとって、できないことを全部できるようにするなんて、それはとても難しいことです。

 基本的に発達の特性は「治せる」ものではありません。だったら、「どうすれば困りごとを減らせるか」「困ったときに解決できるか」を一緒に考えてあげてはどうでしょう。たとえば「忘れ物をしたら、先生や友だちに借りる練習をする」「授業中、先生の言うことが全部聞けなくても、勉強がわかるようになるにはどんな方法がある?」など、「みんなと同じようにできなくてもOK」になる工夫を考えるのも一つの手です。

「困ることがあっても大丈夫」と親子で日々楽しく工夫しながら、生活の中でリカバリーしていく方法が考えられるといいですね。(吉川先生)

2)完成や達成よりも、挑戦を大事にする親の姿勢を見せる

 学校という社会の中では「人よりできることが良い」「努力で目標を達成するのが素晴らしい」という空気があるかもしれません。しかし、発達障害があったり、その特性があったりする子にとって、みんなと同じペースで同じことを成し遂げるのは難しい。自信を失わないよう、少なくともお父さんやお母さんなど、身近な大人は「“完成”や“達成”にはあまり興味がない」という雰囲気を演出してあげてほしいですね。

 何かに成功したことをほめるよりも、難しい日々に挑戦しつづけていることにこそ注目する。「失敗は挑戦した証拠。かっこいいよ!」と声かけをするなど、その子なりに頑張る姿をほめてあげてください。もちろん時には目標を持つこともいいでしょう。ただし、うまくいかない場合に落ち込みが少なくて済むよう、セーフティーネットは準備しておいてくださいね。(吉川先生)

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玉居子泰子
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