公立小で育った長女は、中学受験で中高一貫校に入学し、海外留学も経験。希望の職種に就職を果たした。
「ママ友とも話すんです。『どんなに親が環境を整えても、その子はその子のままで成長するよねぇ』って。親は受験の合否で子どもの人生が左右される気がするんです。確かに人生のレールは無数にあるから、親はどの列車に乗せたらいいか真剣に考えるし、乗り遅れたら目的地には着けないと思いこんでしまいます」
でも、それはちがうと言う。わが子やその友だちの成長が、堀井さんに教えてくれた。
「希望の列車に乗れても、ずっときれいな景色が見られるわけではないし、別々の列車に乗っても大学や仕事で再会することもあります。子どもの力はすごいから、どこからでもリスタートできる。親の役目は、ご縁のあった学校で最大限子どもがハッピーに過ごせるようにすることなんだって、改めて思うんです」
堀井さんはTBSで長く新入社員の採用担当をしてきた。希望の大学に合格しても、希望の仕事に就けるわけではないことも知っている。
「優秀な学生ほど、学校名や企業名にこだわっていません。受験するとき、つい親は学校の名前にこだわるんですけど、『ここに入ったらこの子はどう育つんだろう』とイメージして、その子らしく育っていけそうな学校を選ぶのがいいと、私は思います」
堀井美香(ほりい・みか)
1972年生まれ。95年に法政大学法学部卒業後、TBS入社。TBS系列の番組で多くのナレーションを担当。2022年3月末に退社し、フリーに。2児の母で、働きながら長女の中学受験と長男の小学校受験を経験。コラムニストのジェーン・スーと共にパーソナリティーを務めるPodcast番組「OVER THE SUN」を毎週金曜日に配信。
(文/神 素子)
※AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2023』より
朝日新聞出版

