治療は医師が一方的に行うのではなく、「本人と一緒にいい解決方法を探りながら、一歩一歩進めていくこと」が基本になります。

「子ども、特に低年齢の患者さんは、自分の考えや感情を人に伝えることが苦手です。治療では医師や臨床心理士、栄養士などさまざまな専門家がかかわり、本人の気持ちや困りごとに耳を傾けます。そして本人と話し合って『どんなことならできるのか』を探します。

 本人が『ご飯は食べられないけどおかず1品なら食べられそうだ』と言うなら、まず、それをクリアすることを目指してみる。クリアできたら次の段階へ、クリアできなければなぜクリアできなかったのかを一緒に考えます。親は『とにかく食べてほしい』と焦ってしまいがちですが、本人が納得したうえで進めないとうまくいきません。本人の気持ちもやる気になったり、投げやりになったりと、変動します。医療者や家族はその変化を病状として受け入れ一喜一憂しないで対応することが大事です。学校の先生の協力も不可欠です」(河合医師)

摂食障害を防ぐには

 現代社会は体形に関する偏った情報とストレスにあふれていて、誰でも摂食障害を発症する可能性があります。

「家庭ではできるだけ健康的な食事環境を整えましょう。ふだんから体形や体重に対して肯定的な価値観を伝えることも大切です。子どもの話に積極的に耳を傾け、感情やストレスをより早い段階でキャッチすることが予防につながります。特に周囲の期待に応えようと頑張るタイプのお子さんは弱音を吐きにくいこともあるので、気をつけてあげてください」(河合医師)

(取材・文/熊谷わこ)

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