また、発達障害があると、摂食障害を発症しやすいことがわかっています。

 発達障害の診断を受けているお子さんや、発達障害の傾向はあるけれどそうと言い切れない、いわゆるグレーゾーンのお子さんは、「より注意深く摂食障害の兆候がないか見てあげてください」(同)。

少ない専門家 適切な支援につながるには

 摂食障害は極端な食事制限や過食嘔吐などの食行動異常ばかりに目を奪われがちですが、発症にはもともとの性格や環境、対人関係などさまざまな要因が複雑に絡み合っています。そのため心理面接などの精神面の治療が有効なことが多いです。また、栄養失調や合併症を起こしている場合には並行して内科的な治療も必要になります。命にかかわるような合併症を起こしている場合は、その治療が最優先されます。

 子どもの摂食障害を扱っているのは主に児童精神科、小児科、心療内科ですが、摂食障害に詳しい医師は少なく、施設ごとに受け入れ可能な年齢が決まっています。特に小学生以下の子どもは専門的な治療を受けられる医療機関が限られています。宮城、千葉、石川、福井、静岡、福岡の6県には、患者を医療機関につなげたり、相談を受けたりする「摂食障害支援拠点病院」があります。6県以外の居住者からの相談にも対応できるよう、電話相談窓口「相談ほっとライン」が設置され、受診先を探す相談も応じているので、ぜひ利用してください。

 各都道府県の精神保健福祉センターに受診先を相談してみるのも一つの方法です。

焦らず、一歩一歩治療を進める

 病院が見つかれば安心と考えがちですが、「治療がスムーズに進まないことのほうが多い」と河合医師は話します。

「患者さんの頭の中は『とにかくやせたい』という思いでいっぱいで、正しくものを考えることができなくなっています。『病院に行くと太らされる』と思い込み、受診を拒否する傾向があります。低身長や不妊のリスクを小学生にもわかるように説明しても、今やせることが大事で将来のことなんてどうでもよくなっているので、聞く耳を持ちません」

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