拒食症や過食症といった「摂食障害」は、やせた体形に強いこだわりを持ち、極端な食事制限や過食嘔吐(おうと)などの食行動異常を中心にさまざまな問題を引き起こす病気です。10~20代の若い女性に多く、発症のピークは10代半ばですが、小学生で発症するケースもあります。摂食障害に詳しい医師に聞きました。

MENU 小学生の摂食障害の大半は拒食症 家庭や学校のトラブルなどストレスも発症の一因に 発達障害がある子は摂食障害になりやすい 将来、低身長や不妊になるリスクも

小学生の摂食障害の大半は拒食症

 国立国際医療研究センター国府台病院(千葉県市川市)は2022年1月に「摂食障害全国支援センター・相談ほっとライン」を開設し、摂食障害の人や家族、学校関係者などからの電話相談に応じています。同院心療内科診療科長の河合啓介医師はこう話します。

「開設から2年間に寄せられた相談のうち、当事者が小学生以下のケースは62件。高学年が多いですが、6歳や7歳といった低学年や未就学児の相談もありました。小児専門病院でも低年齢化しているという報告があります」

「摂食障害全国支援センター・相談ほっとライン」に2022年1月~24年1月に寄せられた小学生の相談件数(河合啓介医師提供)

  摂食障害は、大きく「神経性やせ症(拒食症)」と「神経性過食症(過食症)」に分けられます。

 拒食症は、ほんの少しでも体重が増えることに恐怖を感じ、極端な食事制限や過度な運動でやせようとします。すでにガリガリにやせているのに「まだ太っている」と思い込み、低体重に執着します。そのため極度の栄養不足で低血糖や腎不全といったさまざまな合併症を起こしやすく、合併症の悪化や衰弱、自殺などで患者の約5%が死亡しています。

 一方、過食症は食欲をコントロールできず、尋常ではない量の食べ物や飲み物を無茶食いします。食後は過食をなかったことにしようと吐き出したり、下剤を乱用したりといった「代償行為」をおこなうのが特徴です。家じゅうの食べ物を食べてしまって家族から非難されたり、食料を確保するために万引きに手を染めたりするなど、拒食症とは違う苦しみを抱えています。

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