不合格を経験し、息子に変化が

――劇的な変化ですね。

 親から100言われたことよりも、自分で一つ経験することのほうが、大事なんだなと実感しました。

――親はつい、あれこれ口を出してしまいますよね。

 例えば試験時間が足りなくなって、問題を最後まで読めなかったとしても「選択問題であれば何かしら答えを書くんだよ」と言っても、それまで息子は「間違えてバカだと思われたらいやだ」って、それをやらなかったんですが、最後の受験の日は「何か書けば1点でもとれるかもしれないんだから、その1点をとってきて!」って送り出しました。

 息子も一度落ちたことで、1点の重みがわかったのでしょうね。「うん!」と言って、本当に最後の試験はギリギリの点数で合格をつかみとりました。

――振り返ってみて受験してよかったと思うのはどんな点ですか?

 長女はずっと体操をやっていて、目標とする大会に向けていつもがんばっていました。大会で思うような結果を残せなければ、しばらく泣いて傷ついて。でも落ち着くと「次はがんばろう」って前に進んで、成長していきました。息子の中学受験もそれと同じだったなって。たまたま息子がのめり込んだのが算数で、受験することになりましたが、この体験を通じて最後の最後ではありましたが、息子は成長できたと思います。

――本人が受験したいと言うわりには、自分から勉強しなくて悩む保護者は多いはず。宮村さんのお話には「うちの子だけじゃないんだ」と励まされる方も多いと思います。最後に中学受験に挑む保護者にメッセージをお願いします。

  中学受験を通して、親として本当にいろいろな感情を味わいました。でも無駄な時間ではなかったと思っています。私はもう中学受験を経験することはないので、これからは受験生のお父さん、お母さんを応援します!

(聞き手/中寺暁子)

※前編<声優・宮村優子が語る新中1長男“波乱ずくめ”の中学受験「親子の攻防で、おかしくなりそうになったことも」

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中寺暁子
ライター 中寺暁子

健康情報誌編集部などを経て、2000年からフリーに。医療・健康・教育のテーマを中心に取材・執筆活動を行う。

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