4年生までにやっておくべき4つのこと

矢萩:手の動きは脳の動きと非常に連動しているということはいろんな研究でわかっていて、文字を書くだけでも、脳にとってすごくいい影響があるんです。とにかくやっておいてほしいことは読み書き計算、そして体験の四つです。読むということは基本中の基本で、読めなきゃ書けません。あとはいろいろ体験をしておくことによって、後から理科や社会で知識として入ってきたときに、これだったんだな、みたいに繋がってはじめて生きた知識になる。そうしないと、体験と紐づかない知識ってただの詰め込みになっちゃうんですよ。そういう時間を特に4年生までの間にたくさん取ってあげてほしいなと思いますね。

安浪:あとは答え合わせの仕方ですね。やったらやりっ放しの子がすごく多い。もしくは間違っていてもマルにしちゃう子も多い。何のために答え合わせをするのかわかっていない。特に算数は間違えた問題の隣に正しい答えを書いておしまい、となりがちですが、これは勉強とは言わないんです。間違えた問題は、どこを間違えたかをちゃんと自分で確認して解き直す、これが答え合わせです。でも、新4年生にそこまで求めるのも酷なので、大前提として、まずは楽しく塾に通っていればまずOK。そこから1年かけて勉強の仕方を構築していく感じですね。

矢萩:暗記教科は覚えれば点数に結びつくものもありますが、算数は学年が上がると暗記した解き方では対応できなくなります。特に難関校とか言われるような学校は、めんどくさいことをどれぐらいやってきましたか、ということを問うような問題がすごく多いですね。学んだことは活用・転用ができて初めて実用になります。そのための練習として、知っていることを使って何とか答えを導き出す経験が意味を持ちます。なんでも覚えて対応することに慣れすぎないことも、受験勉強でちゃんと成長するためのポイントです。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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