勉強の回し方で一番怖いのは

矢萩邦彦さん

矢萩:宿題をやってこなくて、怒鳴る先生とか最近はあまり聞かなくなりましたが、でもやはり宿題をやってきた子を優遇するみたいなことは多くの塾であると思います。そこはお子さんとの間で合意形成しておいたほうがいいと思います。例えば、「うちはこういうやり方でやっているから先生に何か言われてもそんなに心配しなくていいよ」とか「とりあえずあなたはできるところからやっていって、少しずつ追いつけばいいよ」など言ってあげることですね。

安浪:もしかしたらこの質問者さんはもちろん、新4年生の保護者の方は矢萩さんや私の回答を聞いても、腑に落ちないかもしれないですね。本当にそれでいいの?って。その気持ちもわかります。始まったばかりで先が見えないから不安になると思うのですが、4年生の勉強の回し方で一番怖いのが、親が必死になって子どもを横に座らせて宿題をやらせたり、問題を何度も回したりすることです。そうすると子どもテストの点は取れるようになってくるんですよ。なぜかというと、それだけやってるから暗記しちゃうんです。でも、この勉強スタイルが板についたら5年以降本当に伸びない。だからこそ、最初は勉強のペース以上に勉強のやり方を1年かけて構築していくことが大事なんです。目先の果実を取りに行こうとすると、それが伸びない方向に育てちゃうことって本当によくあるんです。

矢萩:それは本当にそう思います。その塾でうまくやることが目的なんだったらそれをやるしかないのかもしれない。でも本当の目的は、進学はもちろん、子どもの成長ですし、最終的には幸せになってほしいわけですよね。いったんそこまで広げて考えてみたほうがいいと思います。

安浪:あと、みんなできているようでできていないのが、正しい鉛筆の持ち方ですね。今のデジタルネイティブの子たちは字がしっかり書けない。でも入試って文字が書けないとダメなんです。先日入試終わったばかりの6年生でも字が汚くてふにゃふにゃな子が最後の最後まで苦しんでいました。ちゃんとした筆跡で字や数字を書くことは早いうちにできるようにしてほしいです。以前はほとんどの子ができていたのですが、これも時代ですね。今はそこからです。

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