5歳以降で月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合、「夜尿症」と診断されます。治療をすると半年後までに約8割の子どもの症状が軽快し、さらに早めに治療を開始したほうが、治る確率も高くなることがわかっています。おねしょで受診した場合、どのような治療を受けるのでしょうか。専門医に聞きました。
【図版】おねしょを防ぐ生活での3つのポイントはこちら治療の条件は本人に意欲があること
おねしょの悩みで受診した場合、まず夜尿症を引き起こすようなほかの病気がないかどうかを確認します。一般的に実施されるのが、朝の採尿による尿検査。膀胱(ぼうこう)炎などの尿路感染症、糖尿病、腎臓病などの有無がわかります。病院によって、あるいはほかに気になる症状があれば、腹部の超音波検査や血液検査、脳のMRI検査などを行うこともあります。二次性の夜尿症(半年以上おねしょが消失していた期間があるのに再発したタイプ)や日中にもおもらしがあるようなケースは、一次性(生まれてからおねしょが持続しているタイプ)や夜尿だけがあるタイプよりも、背景に病気がある可能性が高くなります。
順天堂大学医学部附属浦安病院小児科で「腎臓・夜尿症・尿失禁外来」を担当する西﨑直人医師はこう話します。
「腹部の超音波検査は、尿路の先天的な形の異常や便秘などが見つかります。こうした病気が見つかれば、その治療をすることが優先されます」
ただし、検査によって病気が発見されるのは極めてまれなこと。夜尿症の治療で最初におこなわれるのは生活指導です。
「当院を受診する患者さんをみていると、生活指導だけで1~2割くらいの子は症状が軽快しています。ただし、完全におねしょがなくなるところまではいかないケースが多いので、1~2週間様子をみて次の治療に進みます。生活指導については、医師との約束事を守れているかどうかを確認することも大事なポイントです。守れない場合は、本人に意欲がない、もしくは発達障害の可能性があるからです。夜尿症は放置しても命に関わるわけではないですし、本人に意欲がないのに治療を続けてもうまくいかないので、治療には向きません」(西﨑医師)
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