――友人たちが合格するなか、一人不合格だった彼女や親御さんにどんな声掛けをされたのですか。
最終的に進学先を決めたとき、実は僕は「良かったんじゃないかな」と思い、親御さんにそんなふうに伝えたことを覚えています。本人の芸術的志向や、一人で何かをすることを好む姿勢が、第1志望だった学校より彼女に合っていると思っていたんです。あとは、第1 志望校に手が届かず残念に思っている気持ちさえ消化できればいいんじゃないかな、と思いました。
「ご縁をいただいた場所でまず楽しみながら、そしてやるべきことが見つかったときにしっかり頑張ることが何より大事だから」とも伝えました。うなずいてはいましたが、その時納得していたかどうかは、わかりません。
その学校でしか学べないことを見つけた
――中学に入ってからは、その女子生徒はどんな活動を?
いざ進学してみると、早速ひかれるものがあったようです。まず、ダンスに出合ったんです。ダンス部に所属し、そのころから、「自分は一人で踊ることが好きだ」と感じだしたようです。その後も、宿題や定期試験で煮詰まったときには一人でダンススタジオを借り、踊っていたとも聞きました。ダンスに出合ったことで「この学校に来て良かった」という気持ちも、少しずつ芽生えるようになっていたようです。
そして学校の芸術プログラムなどを受けていくなかで、次第に、「デザイナーになりたい」と口にするようになり、高校に上がると「ウェブデザイナーになりたい」と将来像がより具体的になっていました。「一人でできることが多い仕事がいい」という感覚も、ダンスを通じて培われたのかもしれません。勉強も頑張り、大学には推薦で進みました。夢の実現に向け、大学進学前からプログラミングも真剣に学ぶようになっていました。
その結果、就職もわりと早い段階で決まり、今はウェブデザイナーとして活躍しています。「在宅でも仕事ができるし、給料もいいんですよ。ダンスもそうだけど、一人で何かに打ち込むのが合っているのかも」と話してくれました。
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