中学受験は、親にとっても子どもにとっても、自分軸を育てる絶好の機会、と語るのは、探究学習の第一人者で、中学受験塾塾長である矢萩邦彦氏。3月3日放送回『円卓コンフィデンシャル~他社との遭遇~』(テレビ東京)にも出演した矢萩邦彦氏が、「自分軸を優先した志望校の決め方」について、解説する。

MENU 第一志望かどうかは、幸不幸にほぼ影響ない 中学受験で親も子も「自分軸」は育っていく 子どもにあった学校を選ぶポイント5つ

第一志望かどうかは、幸不幸にほぼ影響ない

 3月になり、今年の中学受験の総括がいろいろなところで行われています。

「あの学校の受験者数が伸びた」「あの塾の合格者数が減った」など、さまざまな話題で賑わっていますが、保護者のみなさんにぜひ心に留めていただきたいことがあります。

「大切なのは、わが子が幸せに成長しているかどうか。それ以外のほとんどの情報はどうでもいい」ということです。

 では、幸せに成長しているかどうかは、どう判断すればいいのでしょうか。「リベラルアーツ」的な考え方ですが、私自身の基準は「他人から強制や扇動されることなく、自分の人生を自分で選択できている」かどうかです。選択する自由があることは、幸せなことです。そして小さなことでも自分で選択していれば、結果にかかわらず必ず成長につながります。

 今年中学受験を終えたご家庭なら、これから通う学校が、第一志望だったのか、それ以外だったのかはその後の人生の幸・不幸にほとんど影響はありません。

 たとえ中学受験のきっかけが本人発でなかったり、能動的な受験生でなかったとしても、最終的に本人がその学校へ行くという選択をしたかどうかが重要です。

「いやいや、そこしか受からなかったのだからそこにしか選択がなかった」と思う方もいるかもしれませんが、地元の中学に行く、という選択だってあったはずです。あえてそれを選ばずに、受験して合格した中学に行く選択をしたなら、それは自分で選択したことになります。

 逆も然りで、中学受験をする道もあったけれど、公立中に行く選択を自分でしたなら、そこには自由があったことになります。

「自分の人生の選択を他人に預けずに、自分で決定する力」をつけることは、選択肢が無限にある現代においては非常に大事です。

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矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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