Hさん フィンランドでは「勉強は学校でするもの」という考えが根底にあるため、塾はありません。国全体として「落ちこぼれをつくらない」という教育方針のようで、勉強についていけないのであれば、学年を落としてもう一年やり直すなど、あくまで「学校でカバーする」という考えのようです。

 高校に進もうとすれば試験はありますし、受からなければ特別なクラスには進めないのに、そこをパスするための塾は存在しない。試験があって、成績が良くなければ通過できないという状況もあるにもかかわらず、なぜか塾産業自体が生まれないんですね。そこは面白いところだと思います。教育に対し自分のお金を使うという感覚があまりないのかもしれません。教育自体が無償のため、留学したければ自分のお金ではなく国のシステムを使っていく。そんな意識が強いように感じます。

イベントやお誕生日会はどんな感じ?

――季節ごとのイベントや誕生日会に、どのように関わっていますか?

Aさん シンガポールには、日本のPTAに当たる「ペアレントサポートグループ(PSG)」と呼ばれる仕組みがあります。「○月○日にイベントがあります」と管理している保護者から通知があり、協力・参加できる人が個々に申請していきます。複数の日程が提示されますが、どの日もすぐに埋まっていくようです。日本のように授業参観がないため、そうした機会がなければ様子を見る機会がほとんどないのも理由の一つかもしれません。あくまで希望性のボランティアで、強制されることもありません。

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