Aさん シンガポールの場合、「勉強すること」がすごく褒められるんです。テストの成績が良ければ一目置かれるのはもちろん、年間を通じて成績が優秀であれば、学年末に国からお金ももらえる。シンガポールに移り住んだ外国人は賞金の対象にはなりませんが、小学生で約300ドル(約3万円)もらえるので、結構な額ですよね。

「勉強はしなければいけないもの」というムードは、国全体にあると思います。小学校卒業時の修了試験に合格しなければ中学校には行けないシステムですし、どこの中学に行けるかも成績で決まる。勉強から逃れることはできない。親世代もそうしたシステムを乗り越えてきたので、勉強することがどれだけ重要か、身に染みてわかっている、という面も大きいと思います。

Hさん フィンランドならではの教育の一つとして、“選択言語の豊富さ”が挙げられると思います。小学校でも、英語の次にフランス語やドイツ語を選択している子どももいます。フィンランドでは、フィンランド語とスウェーデン語の二つが母語に当たるので、選択しようと思えば小学生の時点で四つの言語を学ぶことができます。

 実際、おもに都市部では言語に長けた人が多いなと感じます。職場でも英語でのやりとりは多いですね。小さいころから多様な“音”に触れていることも影響しているのかもしれません。

テストや宿題で驚いたことは?

――穴埋めや知識を問う問題よりも、記述式の問題が多いと聞きます。

Sさん 算数のテストでも記述式の問題が出てきた時は驚きました。「ボブは、小数の割り算を下記のように解きました。正解でしょうか、不正解でしょうか。不正解の場合はどう間違えているのかを説明しなさい」という問題でしたが、どこがどう間違えているのか、文章にして説明させるんですね。

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