育児と仕事に忙しい毎日のなかで、子どもの様子や今日の出来事を振り返る時間を作るのはなかなか大変なこと。知らず知らずのうちに「子どものできていないところ」の指摘ばかりで、親子の会話がネガティブワード満載になってしまうことも少なくありません。そんなときは「寝る前」にほんの少しでいいから「今日もいい日だった」と振り返る時間を意識してみませんか? 「よかったこと」を探して体や心を緩めながら、明日の元気をチャージしましょう。「AERA with Kids23年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図版】子どもに「幸せ感」をもたらす親の問い掛け例はこちら子どものできないところに目が行きがちな日本人
忙しい毎日の生活では、家事や育児のタスクに追われ、子どもへお小言が多くなってしまいがち。特に寝る前はバタバタして「早く寝なさーい!」と叱ってしまうことも……。頭では子どもの話に耳を傾けたり、どんな一日だったのかを振り返ったりして気持ちよく眠りにつきたいと思っても、実際は難しいという人も多いのでは。
「忙しさもあると思いますが、日本人はそもそも心配性。うれしいことや楽しかったことを掘り起こして探さないと、すぐにネガティブな言葉があふれてしまいます」
こう話すのは家族の幸福学について研究やワークショップを行っている前野マドカさんです。
「欧米人に比べてアジア人は“心配性遺伝子”が多いということが研究でわかっています。アジア人はセロトニンという幸せホルモンを運ぶ遺伝子、セロトニントランスポーターが欧米人に比べて小さい。もともと不安にフォーカスしやすいのです。それが、子どものできないこと、苦手なこと、悪いところに目がいってしまう原因になっています」
心配や不安の中でも、幸せを感じるには?
放っておくとどんどんネガティブになってしまうので、「日頃からよかったことを掘り起こして幸せ濃度を上げておくくらいがちょうどいい」と前野さんは話します。
「日頃の出来事を見渡しても、心配や不安を感じることは多いですよね。その中で幸せを感じながら生きていくためには、ゆるぎない『自分』をもつことが大切です」
例えば自分が本当にやりたかったことをやる、世の中の役に立つ、本来の自分であり続けるなど、自分を形成する土台には自己肯定感があります。自分を受け入れ、肯定し、幸せを感じる毎日があって、自分ができあがっていくのです。
そんな気持ちになる取り組みとしておすすめなのが、寝る前に行う「よかったこと発表会」。1人5分でいいのでじっくり向き合って話を聞くと、安心感や充実感を抱いて翌日に向けてリセットできるようになります。続けていけば「『よかったこと』が自然と湧き上がって、探さなくても見つかるようになる」と前野さんは言います。
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