スマホやタブレットの普及にともない、親が気になるのは「子どもの視力の低下」。近視を少しでも遅らせる方法とは? また、ドライアイを未然に防ぐには? 眼科医の有田玲子先生に聞きました。「AERA with Kids 2023年秋号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。
【図版】この動きできる?子どもロコモのチェック方法はこちら* * *
約4割の子どもが目の疲れを感じている
「子どもの近視やドライアイは、現代病であり、環境病と言えます」
こう話すのは、眼科医の有田玲子先生。この20年ほどで、子どもの「目」をとりまく環境は激変したと感じているそうです。
「今の子どもたちは、外で走り回るよりも、スマホやタブレットを見る時間が長くなりがちですよね。画面などを近くで見る『近業作業』を日常的に4時間以上続ける生活は、目への負担が大きくなります。目の筋肉が緊張して近視を招きますし、まばたきの回数も減ってドライアイの原因になります」
有田先生たちの研究グループの調査によると、約4割もの子どもが週に1日以上、「目の疲れを感じる」と答えていました。さらに、「自分では目が疲れていると気づかない子どももいます」と有田先生。
「親御さんは、何げない子どものしぐさから、目の不調を察知する必要があります。近視の初期は、目を細めたり、画面に顔を近づけて見たりする子どもが多いですね。ドライアイの場合は、目が乾くため、まばたきの回数が増えます。10秒間、目を開けていられなければ要注意と言えるでしょう」
近視とドライアイの初期症状をチェック!
■近視
目を細める/姿勢が悪くなった/デジタル機器に顔を近づける
■ドライアイ
まばたきの数が増えた/手が目にいきやすい
<簡易テストもやってみよう>10秒間、まばたきを我慢できる?
近視の原因は遺伝1割、生活習慣が9割!
そもそも、なぜ近視になるのでしょう? 有田先生によると「原因は遺伝が約1割、環境が約9割」と考えられているそうです。
「毎日、近くのものを集中して見ていると、目のピントが近くに合うようになり、遠くが見えにくくなります。それが近視です。『目が悪くなった』と思うかもしれませんが、むしろ目の使い方に合わせた“進化”だと私は思っています。コンプレックスを持つようなことではありません」(有田先生)
近視の予防法としては、なるべく遠くの景色を見ることが大切。
「遠くにピントが合うように目の筋肉をトレーニングします。ぼんやり眺めるのではなく、5メートルほど先の看板の文字を読もうとするなど、意識して遠くにピントを合わせるといいですね」
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