大人の時間事情もきちんと開示しよう
大人はつい「宿題をやらせたい」「早く寝てほしい」と子どもの時間を文字どおり“管理”してしまいがちです。
「大人はいろいろ経験を積んで、責任も背負っている。だからどうしても将来に備える『アリの時間』(将来のために「やるべきこと」をする時間)を大切に考えてしまいますよね」(木村先生)
でも、本当は大人もやりたいことがあって「キリギリスの時間(「今」「やりたいこと」を優先する時間)」も持っているはずです。
「その本音は、子どもときちんと共有しましょう。『あのね、君が早く寝てくれると、お母さん、ドラマの続きが見られるんだけどな……』なんて、隠さずに言っていいと思うのです。時間は、人と共有することもある。それぞれ事情があるのです。それを知ることも、子どもにとって大切なことです」
時間管理ができると「自分」が見えてくる
子どもが自分で時間管理ができるようになるには、少し時間がかかることも心しておきたいところ。
「たとえば、『自分はこの作業に〇分かかるな』なんて見通しを立てるのは、大人だってなかなか難しいですよね。小学生の今は、トライアル&エラーです。大人から見たら『これは難しくない?』と口をはさみたくなるようなスケジュールでも、とにかく自分で考えて実践してみる。うまくいかなかったら、修正すればいいのですから。これを繰り返して、自分に合った方法を見つけていくのです」
実際にスケジュールを立てる際、「やるべきこと」と「やりたいこと」の両方を最初に書き出すのも基本です。
「始まりと終わりの時間を提示して、『この間の時間は自由だよ!』という提案も、子どもにわかりやすいでしょう。その際、その中身をどう埋めるかは子どもが決めるので、『いや、宿題はここでしょ』と口を出すのはNGです」
これを繰り返していると、思わぬところにも効果があります。
「まず、自分の生活を把握することができます。さらに、将来自分が『なにをやりたいか』も見えてくるのです。最近は、やるべきことはできるのに、『やりたいこと』が見つけられない子どもが多いと聞きます。時間管理は、自分の気持ちの整理にもつながるんですね」
こうして身につけていく時間管理の力は本物。大人になっても、本人の生活をきっと豊かにしてくれるはず!
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