例えば、宿題をしないといけないのに、だらだらしたり、プリントをなくしがちだったりする場合、ランドセル置き場や勉強道具一式をまとめる収納箱を、長くいる場所につくることがおすすめ。
また、朝の準備に時間がかかる場合、自分で平日5日分の着替えセットをつくって1日分ずつ収納しておいたり、曜日別にフックを用意し、持ち物を事前に分けておいたりするのも手です。
そんなふうに、「もの」を管理する「しくみ」で、スムーズに動ける習慣を後押しすると、親子ともラクになります。
「ついつい、『だらしない』『もう何年生なんだから』と精神論で怒ってしまいがちですが、残念ながらその言葉で子どもの行動は変わりません」と中島先生。
「イライラしたら、子どもの行動を誘発する『しくみ』改善のサイン。子どもの性格はそのまま受け止め、環境を変えてみてください」
子どものせいではなく「親子の困りごと」に
それでは、「しくみ」を考えるときの大事なポイントは?
「どうしたらいいんだろうね、と一緒に考えることが大切です。子どものせいではなく、『親子の困りごと』として子どもの行動や動線を見直してみてください」
先生も、小学生の息子さんと時間管理の「しくみ」を考えてはトライ&エラーを繰り返したそう。
「最初、息子は『わからん』ばっかり言っていたのですが、『タイマー使ってみようか』『ここに張り付けておこうか』など、私が三つくらいの案を出して、その中から選ばせていたら、だんだんと戦略がわかってきて、『こういうときは、タイマー作戦がいいんじゃないの』と自ら言うようになりました」(中島先生)
小学6年生の今は、ほとんど口出しすることがなくなったそう。
「習慣化につながらず、うまくいかないことのほうが多いです。『なんで続かないの?』ではなく『次は、どんな作戦考えてみる?』『ごほうびは先と後、どちらのほうがやる気が出た?』など、徹底的に環境のせいにする。そうすると、失敗しても自ら工夫を考えて主体的に動くようになるはずです」
(取材・文/AERA with Kids編集部)
※「AERA with Kids2023年秋号」から抜粋。
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