子どもに「自分で考えて動くようになってほしい!」と願う親御さんは多いですが、なかなかできないのが現実。時間管理が苦手な子には、認知行動療法を使った「しくみ」を考えてみませんか。臨床心理士の中島美鈴先生に、子ども自身が楽しんで取り組めるワザを伺いました。「AERA with Kids 2023年秋号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。

MENU 親が選択肢を出し、子どもが決める 時間と「もの」の管理は一緒に習慣化できる 子どものせいではなく「親子の困りごと」に

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親が選択肢を出し、子どもが決める

「時間管理は小学生時代の習慣づけが重要なんです」と話すのは、臨床心理士で時間管理を専門とする中島美鈴先生。

 中島先生は大学生のカウンセリングもしているそうですが、IQは高くても、リポートの提出に間に合わなかったり、試験までの計画立てができなかったり、社会に出て苦労しがちな学生が多いと言います。

「それまで親や予備校の先生が時間管理を担っていたら、突然はしごを外されて、できないのは当たり前です」

 脳には計画立てに関わる実行機能という認知システムがあり、20歳くらいまでかけて「間に合った」「失敗した」を繰り返して発達するそう。鍛えるには「どの順番でやるか」「何分で終わるか」を自ら考え、失敗しながら身につけることが大切だと言います。

 とはいえ、子どもに初めから時間の使い方を教えないのは酷。

「どうやったら時間をうまく使えるか一緒に作戦を考えます。『親が選択肢を出し、子どもが決める』ことが、自ら動くコツです」

 中島先生が提案するのは、行動パターンを見直して問題解決につなげる「認知行動療法」を応用した「しくみ」づくり。時間感覚の乏しい子は10分区切りで行動を分け、その中で「やりたいこと」と「やるべきこと」の優先順位を自分で決めていくトレーニングが効果的です。

 ポイントは「見える化」。例えば、帰宅後の時間割を作って全容を見せると、自由時間の短さを実感できます。

時間と「もの」の管理は一緒に習慣化できる

「子どもにとって、目に見えない時間を気にするのは、とても高度なこと。時間管理の最初のステップとして、まずは、目に見える『もの』の管理から始めてみましょう」と中島先生。

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AERA with Kids編集部
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