全寮制学校の何が魅力なのか
英国の全寮制学校は、同国内に430校以上ある。郊外の緑豊かな広い敷地に、風格ある校舎や学寮が点在し、生徒たちが寝食をともにしながら切磋琢磨する。さながら映画「ハリー・ポッター」の舞台だ。これまでなじみの薄かった日本人親子をなぜここまでひきつけるのか。来場者に話を聞いた。
「日本の国際競争力が衰えるなか、海外で活躍できる可能性を子どもに与えたい」と語ったのは、開業医の男性。都内のインターナショナルスクールに通う小学4年生の長女(10)、2年生の次女(8)、日本式の幼稚園年長の三女(6)とともに参加した。
「自分の生き残りに躍起になっている日本の政治家の姿を見ていると、国内にいたままでは明るい未来が描きにくい。『英国に行きたい』と言い出したのは長女自身。娘3人の関心は演劇、算数、スポーツとそれぞれ異なるため、1クラス10人程度の少人数制で個性にとことん寄り添ってくれる全寮制学校に魅力を感じています」
都内の小中高一貫校に通う高校1年生の男子(15)は、来年9月から英南西部にある共学校「ウェリントン・スクール」への転入を希望している。
同校のカリキュラムは、大学での専攻を見据えて3~4科目を集中して学ぶ「Aレベル」を採用。「宇宙化学に興味があり、深く掘り下げて学べるAレベルは魅力的。将来とつなげて履修科目を考えたい」と男子生徒は話す。
一緒に参加した母親(40)は、「日本の受験偏重教育で、受け身の姿勢を染み込ませたくない。息子は海外進学を視野に中学生のうちから英語で討論したり、考えをエッセーにまとめたりする訓練を積んできました。英国で好きな分野を突き詰めてほしい」と話した。
学業面だけでなく、寮という国際的かつアットホームな環境で、規則正しい生活や礼儀作法、自己管理力が身につくのもボーディングスクールの特徴だ。スポーツ、芸術など週末のアクティビティーや、寮母らスタッフによる生活面のサポートも充実している。
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