■理系の学生は融通が利きにくいことも

安浪:ただし、気をつけなければいけないのが、学生の家庭教師の場合、忙しいサークルに入っていたり、就活時期に重なったりすると、家庭教師のアルバイトの優先順位が下がってしまうんですね。学生にとってはアルバイトでも、お願いしている家庭にとっては人生掛けてやっている場合もあるわけじゃないですか。そこの重みをすり合わせないと。もちろん、学生さんのほうもいろいろ予定があるのはわかりますが、気軽に休まれては困ります、当日ドタキャンや頻繁な指導日変更はなるべくしないでください、ということを最初に言っておいたほうがいいかもしれません。

矢萩邦彦さん

矢萩:とくに理系の学生さんって融通が利きにくかったりするんですよ。実験が終わらなかったんで今日休みます、と言われてしまったり。文系は理系に比べれば融通が利きやすいかな。まあ、理系か文系かより、やはり相性が大事ですが。

安浪:今お話ししたあたりはハード面の最低条件となりますが、ソフト面の最低条件は、その先生が来ることを子どもが拒否しないことです。実際、家庭教師が来ることを嫌がると、子どもは玄関に入れないケースもありますよ。

矢萩:塾は友だちがいたり、塾に行っても授業を聞かないで机の上で遊んでいたりすることもできるけれど、家庭教師だと逃げ場がないですからね。

安浪:あとは親御さんから見て先生の教え方がすごくわかりやすいと思っても、子どもはそうは思ってない、というズレもよくあります。親の評価と子どもの評価って違うんです。
 

矢萩:それはありますね。有名大学に行っている先生がいいかな、と思って来てもらったら、親はいいと思うけれど、実は勉強ができない子の気持ちがわからない、なんでやる気にならないのか、なんでそこでつまずくのかがわからないというケースもありますね。

安浪:プロであってもそうです。ある意味、できる子に教えるのは優秀な先生なら簡単なんです。でも、できない理由は千差万別だから、そこをちゃんと受け止めて、その子に合わせられるか、ということになると人間性に関わってきてしまうんです。だからできない子を教えるのはプロでもできない人はいるし、学生でもできる人はいる。これはもうコミュニケーション能力の問題です。

NEXT世の中いろいろな子がいるということをわかってほしい
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