安浪:もちろん最難関校を目指していて、そのためのノウハウやスキルを持っている先生に指導してほしいとなったら、それはプロになると思います。でもそうではなく、まずは苦手意識をなくしたい、ということであれば、お姉さん的な学生の先生のほうが断然効果があることだってあります。むしろ年配のプロ講師だと、やり方がガチガチに固まっていて、子どもに合わせて会話をしたり、やり方を変えることができない人もいます。
■プロは良くも悪くも「スキル」で回せる
矢萩:昔、大手塾で採用に関わったり、研修を担当していたりしたことがあります。その塾は学生の講師もたくさんいた塾だったのですが、そこでもプロと学生、という区別はいったん横に置いたほうがいいな、と思いました。良くも悪くもプロはスキルで回せちゃうんです。この時期にはこれをこうやって教えればいい、というフォーマットが自分の中にできているので、それを永遠に繰り返すことができる特殊な環境にいるんですね。普通の業界なら、顧客からクレームが来たら改善・修正していかなければならないんですが、学校や塾ってクレームが来たお客さんは卒業して、また新たなお客さんが下から上がってくる。中には何十年も同じようなクレームを出し続けながら回しているプロ講師もいます。学生さんのほうが責任感ある場合すらあります。
安浪:金銭的な話をすると、算数が苦手で、塾にも行きたがらない子の場合、はっきり言って週1程度のフォローではあまりできるようにならないんです。例えば、プロ講師にお願いして1時間1万円なら、1回2時間、週1でお願いすると月8万になります。学生さんが1時間3千円とか4千円だったら、それは学生さんに週2回来てもらったほうが断然いいと思います。1人で宿題も回せないわけですから…。学生さんなら中学受験が終わっても、ずっと仲の良い関係が続くこともありますし。
矢萩:苦手教科の場合は本当にその通りです。子どもが主体的に勉強できるんだったら2週間とか時間があいても大丈夫なんです。けれど苦手だ、あまり得意じゃない、という場合は、本当は1週間に2回ぐらいやったほうがいいですね。大人であってもそうです。これは間違いない。
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