「正しくお金を使えるようになってほしい」――。親ならそう思ってお小遣いを与えたりお金を使うお手伝い体験をさせたりするもの。でも、その正しさって何を指すのでしょうか。ほどよく好きなことに使うこと? それとも大事に貯めること? 小6、小2、年中の3兄弟を育てるコミックエッセイストtomekkoさんは、3人3様のお金の使い方を見て、親が「身につけてほしい」と思っていたこと以上に、のびやかにお金を使う姿を見てハッとします。お金を通して見えてきた、子どもの個性や心について綴ってもらいました。

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「念力岩をも通す」ということわざがありますが、欲求を満たそうとするときの次男を見ているとまさにこれです。とにかく譲らない。交渉したりごねてみたり懇願したり、願いが叶うまでしつこいのなんの。ちなみに「妥協」という言葉は辞書に無いらしく、あくまで当初の要求から一歩も引かないあたりがたくましいというかなんというか。

 同じ腹から生まれても長男と次男は性格が真逆なので、どちらが良いとか悪いとかではないにしろ何かと比べて観察したくなるのですが、これまで私は根気があるのは長男のほうだと思っていました。魚釣りのような待ちの時間が長いことにも文句も言わずじっと待てるし、じっくり取り組むパズル系の作業にもイライラしません。

 でも、最近気づいたんです。次男は根気がないのではなく、根気の「種類が違う」のだと。

 次男はじっと待つのは苦手です。釣りなんて入れ食い状態でなければすぐイラついてしまって成り立たないせっかちさん。一方、例えばけん玉とかサッカーの足技とか体を動かして何度も繰り返さないとできないことは「絶対にできる!」「次は絶対できるから見てて!」と口に出しながらできるまでやり続けます。何十回目の「絶対」でできたときには、まるでこれが1回目かのようにドヤるところまでがセットです(笑)。

 今回、AERA with Kids2023秋号で描いたイラストエッセイ〝千円のお刺身〟事件は、そんな次男の粘り勝ちでした。

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tomekko
コミックエッセイスト tomekko

小6、小2、年中の男子3兄弟に夫とほぼ男子校な日々を送っているポンコツ母さん。『AERA with Kids』の「脱・カンペキ親修行」では、鋭い観察眼で子育てや家族、夫婦、教育などについて連載中。Instagramでは13万以上のフォロワーに日々育児絵日記を投稿。インスタアカウント @tomekomet

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