一番怖いのは「鬼が出たまま本番に突入していく」こと
安浪:今までの人生で使ったことないような言葉が口から出ていました、とおっしゃる方もいます。気をつけていても、どうしても出ちゃうことはあるんですよね。そういうものだ、と思っておくしかないと思います。子どもは基本、親が大好きですから謝ったら許してくれるんですよ。いちばん怖いのは、鬼が出たまま本番に突入していくことです。
矢萩:言ってしまったものは仕方がなくて、それに対して「ごめんね、そういうつもりじゃなかった」というようにちゃんとケアするのが大事かと思います。言わないように我慢することだけが全てじゃないと思いますよ。それに、この時期はみんな勉強をやっているので知識やできることが増えたのに偏差値は上がらない、ということもザラにあります。人と比べることをなるべく避け、子ども自身ができたと思ったのにできていないところを優先的にやり直していくのがいいと思います。
安浪:テストが返ってきた時に、「家で解いたら解けるじゃない、なんで間違えたのよ!」って怒ってしまう親御さんも多いと思いますが、うまくやっているご家庭は、お子さんに「どうしたら次のテストでこういうことにならないと思う?」と言って子ども自身に考えさせていますね。やはり親や先生に言われたら右から左へと流れてしまうことでも、自分で考えて改善点を出したものは心に留めることができるんです。それを紙に書いて机の前に貼っておくなどするのも効果的だと思います。
矢萩:あと気をつけなくてはいけないのは、自己肯定感が低い親は、子どもの自己肯定感を上げることはできないんですよ。すごく高くなくても、ある程度自己肯定感を持っている人と対話するなかで、相手の自己肯定感も上がってくという構造はあると思います。だからやっぱり親御さん本人が、自分がやっていることに自信を持つというか、信じて子どもと対話をすることが大事です。失敗したなと思ったらすぐに謝ることも必要だし、子どもを対人間として、あまり子ども扱いせずに、受験という体験を一緒に成長しながら乗り越えていこうよ、という態度で接していければ問題はないのかなと思います。
次のページへ親は受験一色にならないほうがいい