NPTでは不十分だと考える国や人たちが動いて2017年に国連で採択されたのが、すべての国の核兵器保有を禁止する核兵器禁止条約だ。核兵器禁止条約の採択に力を尽くした被爆者のサーロー節子さんは、広島ビジョンについて「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」とし、広島サミットは「大変な失敗だった」と述べた。

「核兵器のない世界」という理想を実現するのは、現実にはとても難しいことだろう。ただそれでも、核保有国のロシアがウクライナに侵攻している今、広島G7サミットでは現実を理想に近づけるための姿勢と努力をもっと見せてほしかったという思いを持つ人は少なくない。

(ジャーナリスト・一色清)

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一色清
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