「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。今回は国語の読解についてのご相談です。

MENU ■受験における「読解力」をつけたいなら ■使える語彙を増やすには ■部分点の判断も難しい

矢萩:お子さんはまだ4年生ですよね。4年生くらいだと、まだ学びの準備段階なので、できる、できないの判断も非常に難しいです。テストだけでは分からない。4年生くらいだと、読書習慣があるほうが、点数を取りやすい傾向はありますが、それが受験における読解力かというと、ちょっと違います。

安浪:算数だったら「公文をやっていると計算は強いよね」といった感じですよね。

矢萩:そうです。じゃあ何をやったらいいのか、という話なんですけども……。まず知ってほしいのは、受験の国語とは何か、ということです。本来、本を読むことって自由なことで、物語や小説文なら、自分なりにどこに感情移入してどう解釈してもいいわけじゃないですか。全員がまったく同じように共感することなんてあり得ない。でもそれが問題として出題されて、模範解答があるのが受験の世界。つまり、入試問題をつくった人がいったいどう読んで、どう答えてほしいのかを推測できるかどうかが受験国語ってことになるんですね。入試問題に使われた作家さんが自分で解いてみたら間違えた、という話があるじゃないですか。そういうものなのです。受験の国語って本来の読解というものとはちょっと乖離しているんだ、ということをおさえておいてほしいです。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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