安浪:私も「物語文と説明文を解く上で、それぞれの読み進め方がある」と国語の先生に聞いて目から鱗でした。あと、受験する以上は「場慣れ」も必要です。いくら学力がついていても、家で過去問の点数が取れても、それが入試本番のピリピリした空気の中で発揮できなければ点にはならない。大手塾の子は、頻繁にあるテストやクラス昇降でそういった面を鍛えています。また、テストは制限時間内に処理をしていく必要があります。よく「テストではできなかったけれど、家で解き直したらできる」という相談をいただくのですが、そりゃ家で時間を気にせず解けば解けるでしょうね、と。入試は制限時間の中での戦いだから、スピードも必要です。

矢萩:6年になったらそこは大事になってきますね。でも、今まで好きな勉強をじっくり学ばせてもらえる環境でよかったね、と、息子さんに言いたいかな。

安浪:本当にそうです。5年まではその時間はすごく大事。入試が近づくにつれ、じっくり考える時間も取れなくなってきますからね。逆に、低学年のうちから、大量の課題をとりあえずこなすような勉強方法が身についてしまうと、じっくり考える部分が失われてしまいます。時間のあるうちにこそ、あーでもないこーでもないと悩む勉強をしてほしいです。

矢萩:好きなことをじっくり学んで、それをやったうえで受験を考えているので、順番としても間違っていない。最初から決め打ちをしないで、試行錯誤もちゃんとしている。いい受験勉強だと思いますよ。

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(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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